【伝説巨神イデオン TV版・映画版】 感想まとめ:因果地平は救いか?
記録も兼ねてTwilogから持ってきて整理しました。
各話感想のテンプレが出来たのは15話からなのですが、それまでのツイートにも興味深いのが幾つかあったのでそれも載せてます。
各話感想
見出し省略
脱線話
1話あたり)
あーガンバスターのアイキャッチってイデオンが元ネタなのか。なるほど。
12話あたり)
画像付きで感想を呟こうとするとtwitterの140文字制限の難しさと面白さが良く分かるので楽しい。つまりイデオンの感想を呟いているここ最近は毎日楽しいのです。
次回予告の最後はスペース・ダロイ!っていう造語を言ってるかと思ったらアレは「スペースラナウェイ」なのね。いやそう言われてもそうは聞こえないのですけれども。
12話
イデオンのベス、嫌味な面もあるが仕事は出来るしやるしカララを信じきれる意志の強さを兼ね備えているし12話現在で一番好きなキャラだ。
13話
険悪ムードの逃避行というと無限のリヴァイアスが思い出されるのだが、あれは今にして思えばゴールが「(船と乗組員の両方に)理解ある大人が救助にくる」だったのでまだ救いも見えたってものだが、イデオンは……。
無限のリヴァイアスが好きな自分にとってはかなり好物なのでぐへへへとか言いながら見てる。
14話
カミウラ・ランバン司令……? いや私は知ってますよ日本語名かと思わせるパターンですねこれは。ウッソの母親をミウラ・ミゲルだとずっと思ってた私のゴーストがそう囁くんです。
コスモなる青年が戦闘のショックから幼児退行したかと思いきや、その対処療法が親代わりになってた人の惨たらしい死だったという一連の流れにもう何も言えない。ショック療法にもほどがあんでしょう。
これを一話でやるテンポの良さにすげえなあってなってる。乾き物用意してもっと見よう。見たくなくても見る!!!!
案の定カ「ミウラ」ではなくカ「ミューラ」だったので安心している。経験が活かされたのだ。
15話
ソロシップ仲違いの主原因であったカララがむしろ仲違いを起こさせないようにと、よりにもよってシェリルを庇って犠牲になった回。カララの人畜無害さとコスモの機転が見所だった。「命があったらまた会おう。」
16話
調子に乗って独断専行を行ったコスモとカーシャが罰として独房に入れられる回。独房がやけに小さいのが気になるというか心配になるところ。ギジェの同僚であるダミドが戦死する回でもあった。南無。
17話
コスモとカーシャの特にカーシャが自らの不幸アピール(傲慢)に反省の色を見せて独房から解放された一方で、赤ん坊のルウが命に関わるはしかにかかった回。「カララ、バッフ・クランを敵と言うのか。」たった一つの星に捨てられ……
昔懐かしなコンポジットケーブルみたいなもの。この場面でシェリルとカララがすんなりと協力できているのはシェリルの脱走をカララが庇った例の一件があったからこそ、か。カララは順調に順応している気がする。
18話
地球の移民星に立ち寄ったら異星人扱いされて攻撃された回。カララがバッフ・クランでありながらソロシップに順応したのに対して地球人同士では分かり合えず争うところが面白かった。「住む星が違えば既に同じ地球人ではないのよ。」
アジアン星のアジアン軍は市街地でも無差別攻撃する程度の雑さがあるのだが、それに対して市街地戦に持ち込んだギジェは自らの非道な侵略行為を棚に上げてアジアン軍人を野蛮だと罵るのでそこのところも面白い回だった。この傲慢さよ。
19話
好戦的なおじさんギャムスと二機もの新型メカが初登場する回。手柄を立てることが全てのギャムスおじさんとイデオンのミサイル一斉掃射が見所だった。「俺たちは見放されたのか。何しろ自分勝手な人間ばかりだ。」
20話
前回に続いてギャムスとその手下のブフ兄妹が出てくるが突如パワーアップしたイデオンの前に揃って戦死する回。結局は失敗するのだがブフ兄妹の健闘っぷりは中々のものだったのでそこが面白かったところ。「やったか!!(フラグ)」
19話と20話は「何かよく分からんけどイデオンが勝手にパワーアップしてるやばい」以外は特に物語は進んでいない気がするので戦闘回といった印象がある。映画版だとハブられてそう。
21話
ハルルを討てるチャンスを前にみんなで盛り上がりすぎた結果イデオンがオーバーヒートを起こしてハルルを取り逃してしまう回。緊迫した戦いとソロシップ内での初の白兵戦が見所。白兵戦に至る直前の絵が面白い。
22話
総集編。カララによるイデ伝説の物語から始まり、第4話ラストのソロ星脱出で終わる。イデ伝説を序盤に持ってくる構成もそうですが、ソロ星から脱した直後のソロシップが新規(のはず)だったりするので、やはり富野監督はただの総集編はやらないんだなと安心した回でもありました。
23話
地球の植民星へ救助にいったら案の定非協力的な態度を取られた回。キッチンとダラムのお目見え回でもある。廃墟にあっても強く生きる健気なキッチンと男泣きするコスモに心惹かれた。「苦しんでいるのはあんたたちだけじゃない!」
24話
復活のギジェにイデオンを奪われるが運良くコスモが取り返した回。前回からしばらくはギジェがダラムの元で活躍”しようと頑張る”回が続くので見逃せない。後キッチン!「(軍人も何も)自分を守るのに区別はいらないでしょう!?」
25話
キッチンが死んだことを知れないコスモの代わりに私が深い悲しみに包まれた回。「愛しあい ふと 触れ合って、思い出だけに 閉じ込めてみる。」
26話
コスモが一時的に光を失う回。そして何よりパイロットだけを殺す砲台である脳細胞破壊ビーム、通称「ゲル結界」の初登場回でもある。母星の地球にはこの回でたどり着く。「これでやっと戦いから解放されるのね。」そりゃそうさ。」
27話
シェリルの惚れた男コルボックが犠牲になってしまったがソロシップ一行の「イデ」への考えが深まった回。そして失敗続きのギジェが遂にダラムに見捨てられて失意のギジェになった回。「イデに取り込まれているのよ、私たちは。」
テーマの一つである「イデとは何か」が若干判明してくるし、地球人同士でも分かり合えない様がまざまざと描かれるので特に面白い回だった。あとアジアン星のときもそうだったけど、シェリルを被害に合わせた軍人は大体インガオホーの如く死ぬのだがこれがイデの導きなのだろうか。
それと、月の重力はいつものより小さいんですよってのがジャンピング移動で表されていたのは芸が細かったなあと。ちょっとした場面だけど好き。
28話
地球連合軍に無視どころか脅迫&攻撃をされて実質的にソロシップの地球人一行がたった一つの母星に捨てられた回。宇宙の孤児になりました。波動ほ……じゃなくて波動ガン(イデオンガン)の初登場回でもある。「バカヤローッ!!!」
あとシェリルが独断専行をして地球連合に囚われるんですけど、いざ救助ってなったときのコスモの第一声が「シェリルさんを……助けるのか?」って明らか迷ってるのでアンタそんなにシェリルさんのこと嫌いなのかよってなったんですけれど、よくよく考えたら彼女、前科ありますもんね。
29話
ルクク・キルが2機もの新兵器を引っ提げて初登場しイデオンを追い詰めたかと思いきや此方も初お披露目のイデオンソードで盛大に蹴散らされてしまう回。シェリルとギジェの運命の出会いもあるよ!「スマンッ!」「ウッ!」
あとコスモのレトリックが面白い。コスモ「シェリルさん、俺たちは地球を捨てるんですよ。自分に自身を持てなかったら生きられませんよ。」そう、”俺たちが”地球を捨てたのである。”地球が”俺たちを捨てた、のとは違う。
「イデ」に在るが儘に運命を流されるのではなく、自らの運命は自らが切り開いていくものだというコスモの覚悟やまだ自分は運命を変えることができるという強がりのような自信、それがこの一言から感じられてとても面白い。イデオン面白いよ!!!! (おわり
30話
決闘で特攻を試みた卑怯なダラム・ズバを狙撃したギジェ・ザラルがソロシップの面々に過去の赦しを乞う回。ギジェの状況が何より面白い。彼の願いが「イデが表れるまで生き延びさせてくれ」だから死による償いってのがまず、ない。
詳しくいうと、ソロシップ側はイデに良き力を示すために憎しみを元とする無闇な殺人は犯せないし、ギジェは「生き延びること」が何よりの願いだから自ら命を落とすなんて選択肢は勿論ないから、である。
だからこそ、その身一つ以外には物資も地位も名誉もない何もないギジェが泣きながら言う「今の私は償う術を知らないのだ。」ってのはこうかなり響くんですよね。面白いとか言いましたけどぶっちゃけ辛いです。(おわり
あと前回コスモが言ったことをイデオ・バスタのモエラがもっとハッキリと言いましたね。というかこれに引っ張られてたかも。「運命なぞ自分で作るものだ!イデだかなんだか知らんものに支配されてたまるものか!」
31話
子離れができない両親が失意のままにその息子ベスと離別した回。親と子を1話かけて描くのはイデオンだとこれが初めてだったので親の醜悪な人格描写も相まって実家のような安心感が「私たちの息子ですよ、きっと分かってくれますよ」
あと今回出てくる重機動メカ「アブゾノール」がエネルギーの吸い過ぎで撃沈するってのを見たときは、あっ、これゲームで見たことあるやつだー!!って盛り上がってました。イデオンたのC。
32話
ダラムの睦言を笑ったルクク、彼女を暗殺したハルルの刺客クララ、地球連合軍で唯一協力的だったレクラン将軍、そして看護師ラポーと結ばれたかと思われたファトム・モエラが戦死した回。「この光は、俺たちの運命を変えていく光だ!
あとモエラが出撃前に泣き虫ファードを説教した言葉「泣くなよ男だろ!~マラカ、それでも男か!」は今だとPC的な何かそういうので叱られそうですが、まあ制作年代が年代ですので。はい。
33話
今回のギジェの裏切りは単なる戦術だったと判断されて処罰を免れた回。面白いのは、ナレーション曰く、ギジェ本人でさえもあの行動の真意が分かってないってところですね。 コスモ「俺は結果で判断するしかないと思っている。」
カーシャとかはしつこく言及してきますがぶっちゃけギジェ本人ですらどっちでも良いとか言っちゃってるんで、不毛もいいところなわけで。私個人としても結果論として勝ったんだからいーじゃんって気持ちですし。まあコスモに賛成ですよ。
34話
「イデ」がエゴであることは分かったがもはやコントロールは不可能とも宣言された回。強大な力であるイデに命令するベスの意志の強さが見所。「全力で示せ! そうすれば意志の力は時空さえ越えられるはずだ!」
この回で物語の軸は「イデとは何か。」から「イデから逃れられるのか。」にハッキリと変わった気がする。この回最後のナレーションすらもイデの流星の効果音に遮られたのが象徴的。「そして事実それはソロシ(シュゥゥウウウン)」
35話
惑星を破壊するほどの準光速ミサイルの雨からソロシップが生還した回。「良き力によるイデの良き現れ方はあるのか」という問いに対して、ソロシップ内でも意見の相違があるところが如何にも群像劇って感じで楽しい。「悪魔の力よ。」
36話
制御不可能な「イデ」から逃れるためにイデオンとソロシップを捨てたら「イデ」に呼び戻された回。自爆装置の爆発数秒前の演出とイデの理不尽さが見所だった。「俺たちは本当にイデに取り込まれちまったんだな。」
それと”この戦いが終わったら結婚するんだ俺”のガルババさん、初登場で早速フラグを立てたと思ったらまさか一話で消えるだなんて……。「ルールルンルル~♪」と陽気に鼻歌を歌う姿は癒しでしたよ、ガルババさん。南無。
37話
アジアン星とバッフ・クランによる協同の人質作戦でシェリルの妹・リンが犠牲になった回。34話もそうだけれど、イデオンを共通の敵としたときには協力し合えちゃうってのは何とも皮肉だなあと。「我々も巻き込まれた口だ。」
38話
イデの発現をしかとその眼に焼き付けてギジェが戦死した回。ギジェお疲れ様。そして二回連続で親しい人を亡くしたシェリルがただただ不憫でならない。さあ最終回はどうなることやら。「これが、イデの発現、か。」
39話
地球人とバッフ・クランの分かり合えない様に呆れた「イデ」が発動を起こして、因果地平になった回。ここだけの話、発動の瞬間はBGMも相まってあまりの唐突さに思わず笑ってしま「その瞬間であった。イデの発動が起こったのは。」
TV版感想
人間側に立って「過ぎたる技術に身を滅ぼされた」と言えばSF的な悲劇であるし、イデ側で「憎しみの連鎖を終わらせてあげた」と言えば博愛的なドラマにもなるので何とも面白い作品でした。後者の方は「因果地平とは何か」が関係していると思うので、そこは映画版に期待してます。
接触篇感想
好戦的なギャムスおじさんの話が予想的中でバッサリカットされてて笑ってしまった。にしても戦闘シーンのカットっぷりが凄まじいテンポの早さと良さを生み出してていいっすねこれは。宇宙出て二度目の戦闘が21話相当のハルルとの白兵戦ですからね! スゴイ!
”因果地平”には全宇宙的な滅び以外/以上の意味があると思っていたのだがどうなのだろうかな。
話が進めば分かるっぽいことを心配しても仕様がないですけどね! というか「イデ」の説明も固有名詞を減ったおかげで分かりやすくなってる気がする。
見終わった。wikipeには前半の総集編とあるが、案の定ただの総集編ではなく内容は変わりまくりだったのでとても楽しみながら観れた。登場人物の死亡の早さに代表されるようにテンポがとても良かったのも面白かったところ。
あとロッタのエピソードはこっちの方が自然で良かったですね。TV版だと行動起こすのがちょっと不自然なくらいに遅い上に至近距離になのに弾外しすぎで笑えてしまったので(ヒドイ)。
発動篇感想
見終わってから感想も呟かずにぼーっと考えていたわけですが。あれですね、やはり私には憎しみ合いを終わらせた博愛的なドラマに見えましたね。イデオンは。とても優しい結末でした。
因果地平が生まれ変わりまでの魂魄の和解の場だったってのが良かったなあと。TV版を見た後は因果地平って何なのよってな感じでモヤモヤしてたんで、それがこうやって映像になっていたのはとても嬉しかった。
また観直してそのテンポ感に酔いしれたい。そして人々が逃れ得ぬ人の業から解放される姿をまた見たいと思う。そういうわけで、イデオン劇場版はとても楽しめました。
あとテンポに関しては始まってすぐの、キッチン登場即死亡→ タイトル→ クレジットを流しながらワイプにてギジェ戦死&イデ発現 をやるっていう省略法が堪らなかったですね。ここでクレジットを先に流したからこそ最後の余韻も出るってもんですし、スゴイ!
「因果地平は救いか」
私は救いだと思っています。ただ、この生まれ変わりによるやり直しってものが発動篇の映像だと単細胞生物レベルまで戻っているように見えるので、もしかしたら人間はまた劇中と同じように争いを繰り返すのかもしれないなあ、なんて思ったりもしています。
とはいっても、彼らがこれからどうなってどういう未来を生きるのかは、誰も知らない神のみぞ知る物語の外のことなので、やはり私はこの物語の終わりとして因果地平は「人々を逃れ得ぬ業から解放する救い」であったと考えています。