正体不明のお色気美女

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『アイの歌声を聴かせて』水飲み場での詩音の身長の謎などについて考察してみた

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画像引用元:公式Twitter*1

"サトミ! 今、幸せ?"

ということで本日12/31が誕生日の天野悟美の幸せを尋ねるシオンの一言で始めさせていただきました。
アイうたについての考察記事です。

今回は映画を見たり小説版を読んだりしても心の中で謎として残っていることについて考察していきます。

来年の1月5日に立川シネマシティで監督に質問できる機会があるらしいので、それに向けての個人的な棚卸しでもあります。
ccnews.cinemacity.co.jp

あと今回の考察は元ネタではなくて描写の意味について考えていきますので、元ネタなどについては以下をご参考にしてくださいませ。

hellosaki-tre.hatenablog.com

togetter.com

念の為ですが、そこまでガチで考察しているわけではないのでその点はあしからず、です。

もちろんネタバレは遠慮なくするので必ずご鑑賞後にご覧下さい。
というより見た後じゃないと意味が全く分からないと思います。

あと考察する順は謎の度合いではなくて劇中での出現順にしました。
こちらの方が該当の場面を思い出しやすいと思うので。

では考察を始めていきたいと思います。

追記 2022/03/13:本作の期間限定配信レンタルが始まってから好きなだけ見返せるようになったので、改めて考えたことなど追記しました。あと2022/01/05に立川シネマシティで行われた吉浦監督によるスタッフトーク(以下、「1.5トーク」と書きます)で解決した謎もあるのでその部分も追記しました。

はじめに

以下では芦森詩音に入ったAIのことも便宜的にシオンと呼んでいます。
アンドロイドの芦森詩音のことなのか中身のAIのことなのかは文脈から判断して下さると幸いです。

1. 水飲み場でのシオンの身長の謎

水飲み場というとサトミがシオンにロボットなのかと尋ねる場所ですね。
この場所は、蛇口のある表側に対して、裏側は表側から一段下がった形になっています。
そして、サトミは表側、シオンは裏側にいます。
しかしこのとき、裏側が一段分低いはずなのにも関わらず、シオンの身長や顔の高さは通常時と変わっていません。

これはどうしてなのか、いくつかの仮説を考えてみましょう。

追記 2022/03/13:改めて見ると一回目(サトミに問いただされる回)は伸びている感じがするのですが、二回目(サトミとトウマとで幸せについて考える回)は普通に下がっているように見えますね……。

1. 裏側に足場がある説

一番シンプルでかつ無理のない説です。
とはいえ、ちょうどシオンがいる場所は砂利が敷かれたスペースなので、なんでそんなところに足場が?、という構造上の疑問も湧きます。

追記 2022-01-05:モデルとなった学校の職員さんから水飲み場の裏側の写真を見せていただきました。あくまでもモデルはですが、足場はないそうです(やはりシオンは猫かもしれない)。

2. 高さはあるがシオンが腕というか手の力で全体重を支えている説
シオンの身体能力は人間基準だと非常にハイスペックであることが描写されています。
ロボットゆえに高重量つまり体重が(※アンドロイドであっても女性の体重のことを言及するのはデリカシーがない行為なので中略)といえども、その持ち前のハイスペックさならどうにか出来てしまえそうな気もします。

追記 2022/03/13:一回目のときの序盤は縁に手を付けていないので支える以前の話でした。

3. シオンは猫である説

人類の皆様はご存知の通りだと思いますが、猫は伸びます。
なんで伸びるかというと、背骨が多いからだとか関節が柔らかいからだとか身体の構造によるものだといいます。*2
そして伸びられるようになった目的は身体の柔軟性を保つためだといいます。

シオンの身体は、柔道の乱取りなど運動を行っても故障していないことから丈夫であること、言い換えると衝撃に耐えられる柔軟性があることが伺えます。
そしてその柔軟性を確保するために、猫の身体構造を参考にしたとは考えられないでしょうか。

またシオンが猫である説を補強するものが一つあります。
そう、予想がついていると思いますがこれです。

ω

このモニュッとしたお口、いかにも猫ですね。

つまりシオンは猫なので身体が伸びるのです。

2. シオンが校庭への階段を登るときにサトミが「ああっ」となる謎

"ユー・ニード・ア・フレンド" のサビ前の場面ですね。
なんで心配したような顔で驚いているのかな、と不思議に思うので考察してみましょう。

1. シオンが階段を駆け上がるときに転んで怪我をしないか心配した説

サトミはいたずらされているお掃除ロボットを助けてその背中を擦る、といったロボットへの優しさを持っている女の子です。
そんな優しいサトミが子供みたいにはしゃいでいて危なかっしいシオンのことを心配するのは自然なことだと思います。

2. その階段を昇られたら追いかける自分も昇らなきゃじゃんと体力面で心配した説

見て分かる通りあの階段は長いです。実際、シオンを追いかけていった先でサトミたちは息を切らしています。
サトミたちは普段から体育の授業などでグラウンドまで移動する機会がある分、その大変さが身に沁みているのでしょう。

3. グラウンドにいるであろう生徒たちに見られちゃうじゃんと人目を気にした説

昼練とか遊びでグラウンドにいるであろう生徒たちにシオンがはしゃでいる姿が見られるのでは、と心配をした可能性もあります。
ただ、学校内でスキップしながら歌ったり歌いながらチラシをばら撒いたりしてるので人目についちゃうからってのは今更感ありますね。

3. 天野家の前にある風車が夜になると止まる謎

風力発電設備と思われるあの風車、夜になると止まっているんですよね〜。
なんででしょうか。考えてみました。

1. 作動音がうるさいのでブレーキをかけている説

天野家の場所は見える限りだと他に家はなく、夜はかなり静かそうな場所です。
静かな場所であれば風車が小さくともその作動音は気になりそうなものです。

2. 地形的に夜になると風が吹かない場所である説

気象については詳しくないのであまり詰められないのですが、そういう場所もあるのかなと。
知っているものだと山谷風は昼夜で風向が変わりますが、風が吹かなくなるわけではないはずなので、説の補強にはならないですね。

4. シオンの顔に劇中で一度だけ漫符が描かれる謎

こちら、お気づきになられたでしょうか。
アヤたちに"王子様"の居場所を聞くときにシオンの顔に、赤面の漫符( /// )が入っています。
劇中ではサトミたち人間には赤面や汗などの漫符はよく描かれるのですが、シオンに漫符が描かれるのはこの場面のみです(※記憶が正しければ)。
なぜアンドロイドであるシオンにもこの場面だけ、人間のような赤面表現が使われているのでしょうか。考えてみました。

シオンには顔を紅潮させる機能が備わっていてそれを意図的に使った説

シオンは高性能なアンドロイドなのでテンアゲの表出として意図的に紅潮機能を使ったのかもしれません。
"高校生なのに王子様探しなんて夢見る少女っぽくて恥ずかしいかも! 顔赤くしていこ!" ってことですね。
ただ、この後シオンがキス騒動を起こすことを考えるとそんな考えができたのかは、正直微妙ではあります……笑

とはいえ、あのとき話しかけた相手がアヤ以外に "自分がアンドロイドであると知らない" 人たちがいることを考えたら、ちゃんと機能を使ったってのも無理はない線でないかなと思います。*3

5. 彼氏騒動後のシオンからの電話にノイズが入っている謎

このノイズは小説版だと以下のように書かれています。

強風でも吹いているのか、聞こえてくるのはごうごうというノイズばかり*4

今回はこれをヒントに考察をしてみましょう。

1. メガソーラーの近くにあるダリウス風車が携帯の電波をしきりに遮っている説

こちらは放送波ですが電波障害の一例としてあるようなのでそうかも、
と。*5

2. シオンがトウマを連れて高速で走っている説

シオンの身体能力はハンパないのでワンチャンありえます。
トウマは軽そうですしなおさら。

追記 2022/03/13:3. シオンがサトミを駆り立てるために通信障害を演出している説

あの通話画面はLINEっぽいですしネットにお友達がいっぱいいるシオンなら通話障害っぽくするのは難しいことではないでしょう。シオンの声は普通に聞こえるのにトウマの声は聞こえづらい点については、見えないだけでシオンがトウマの口塞いでいるとかですかね。

6. 芦森詩音の身体に元々入っていたAIはどうなったのかという謎

これは見た人は必ず一度は考えることだと思います。
ということで、考察してみました。

1. おじゃました説

この説について語る前にまずシオンとその他のロボットの関係について確認したいと思います。
シオンのために他のロボットが動くのはシオンを"手伝っている"からです。
これ言葉の綾ではなく、実際シオンはハッキングなどではなく生来の自然言語処理機能を用いて対話をしただけなのだと考えられます。
ただその対話の結果として、対話をしたAIにはブレークスルーが起きて意識とも言えるものが芽生えたのです。
その結果が脱出作戦のフィナーレで起きたことです。

この作品のテーマは「共存」だと私は考えています。
そのテーマに沿っていえば元々のAIについては、消失はもちろん融合というのもないのではないかな、と思います。
ですので、あくまでも空いているスペースにおじゃました程度ではないのかな、と。

2. そもそも入ってなかった説

AI入れる前だったのでは、ということです。
書いているうちに思ったんですけど、シオンが他のAIと対話をする様子って描写されていないんですよね。
だからそもそも、対話しなくても入れる空きの状態だったという可能性もあるのかな〜と。
実際、劇中の描写でも身体に飛び込んですぐに目のカメラを使えていますし。

追記 2022/03/13:1.5トーク

監督としては「融合」だそうです。ただし、どちらが消えたのではなく統合されたというイメージ、だそうです。このスタッフトークまで明言を避けてきたのは「融合」という言葉がともすれば不気味に受け取られるだろうから、といった感じのこと仰られていました。

私もこの融合という言葉については、子供の頃に見た遊戯王の融合のように二者が合わさって全く異質のものになる、というイメージだったのであんまりいい印象がありませんでした。ただアイうたで想定されたAIの融合とはそういったネガティブなものではない、ということでした。
でも確かにシオンが試験AIと融合しなければ、学校での振る舞いをシオンらしさを残したまま、そううまく修正できたようには思えないので、なるほどといった納得感があります。

7. サトミがシオンを起こすときに歌ったあるフレーズの謎

ここの場面でサトミが歌った一節を引用すると以下の通りです。

見守っていたんだよずっと
あなたが私をおもって

前半のフレーズは『You've Got Friends』の2番の歌詞ですね。劇中だとトウマが歌ったフレーズです。ただ後半のフレーズは何でしょうか。
シオンの歌やまたその多くの元ネタであるフィール・ザ・ムーンライトにもこのフレーズは存在しません。
考察してみましょう。

1. 『ムーンプリンセス』の他の楽曲に存在していた説

劇中で描かれていないので完全に想像です。
もしこの説だとすると『ムーンプリンセス』は『アイの歌声を聴かせて』がそうだったように同じメロディーや歌詞を意図的にリフレインするタイプのミュージカル映画だったのかな、と考えられます。

アイうたのシオンが、ムーンプリンセスの主人公であるムーンと同じような運命を辿ったことを考えると、メタ的な見方になってしまいますが、ムーンプリンセスの楽曲もまた同じような作りをしていた、というのもそう突飛な発想ではないのではないでしょうか。

2. サトミが歌詞を間違った説

いやそんなまさかって話ですが、状況が状況だからあり得なくはないです。
とはいえ、落ち込んでいる状況でもトウマに歌詞の間違いを指摘するほどムーンプリンセスには熱いサトミなので、歌詞間違い説の見込みはほぼないでしょえ。

3. シオンからのメッセージであるYou've Got Friendsの歌詞に倣った説

ポイントは一番のサビであるこの部分です。

今すぐに会いたい人を想って
心に浮かぶ言葉たちを
歌うように解き放っていくの

つまり、この後半のフレーズはサトミが今すぐに会いたい人であるシオンを想って心に浮かぶ言葉たちを歌うように解き放った結果、ということです。

今回の説の中だとこれが断トツでエモいので私はこれを推します。

追記 2022-01-05:劇中だと歌詞は一番から始まってサビから二番なのでこの歌詞は歌われていませんでした。となるとどういうことでしょうか笑

8. ラストの三太夫の顔にシオンの写真を貼ったのは "どちらなのか" という謎

貼ったのがサンダーなのか三太夫なのかでニュアンスが変わるんですよねこれ。

1. 貼ったのはサンダーである説

サンダーだとすると、シオンとの乱取りを思い出しながら練習にやる気を出すために、と言った感じでしょうか。
とはいえ、あのシーンだとむしろ気を取られてあっさりと足払いで倒されているので、世話ない感じですが笑

2. 貼ったのは三太夫である説

三太夫だとすると、シオンがいなくなって寂しがっているサンダーを励ますために、って感じになります。
もっというと、励ますどころか三太夫が自分を詩音だと思ってもいいのよ、というアピールである可能性も考えられます。

というのも、詩音との乱取りシーンでの歌はサンダーのメモリーを元にしているから、と考えられるからです。
あの歌の歌詞やシオンの表情が蠱惑的なのは実は三太夫の内面が "そう" だからなのでは、ということです。

そうだとすると、三太夫からサンダーへの恋的なものが感じ取れてしまってムズムズしてきちゃいます笑

タイトルのトリプルミーニング(AI, 愛, I)について

これは謎ではありませんが、考察をしてみました。
トリプルの根拠は先日の監督のツイートです。


AI, 愛, Iはシオンである

この三要素はすべてシオンという存在に集約されています。

"AI" の歌声を聴かせて

AIについては言わずもがなシオンもしくはその中身であるAIのことですね。
シオンの作曲能力に関して劇中で言及されることはありませんでしたが、ムーンプリンセスという劇中劇の楽曲を参考にしているとはいえ、かなりすごいですよね。作曲できるAI、音楽アーティストの方だったらどんな感想を抱くのでしょうか。

"愛" の歌声を聴かせて

シオンに与えられた命令というよりお願いは "サトミを幸せにすること" でした。
そのお願いがトウマからサトミへの愛を元にしているというのは疑いようがないことでしょう。
シオンが果たして幸せの他にも愛について理解できたのかは定かではありませんが、トウマのお願いを受けて、サトミの幸せを想ってシオンが行なったことは間違いなく愛の行為であったと言えます。

"I" の歌声を聴かせて

サトミは小さい頃からムーンプリンセスが好きでした。それも幼い頃にはその歌を歌うほどに。
であれば、その歌で歌われていたように歌が人と人を繋ぐということを信じ、またそれを実現していた主人公のムーンに憧れるのは自然なことでしょう。*6

さて、シオンはそのサトミが大好きなムーンプリンセスを参考にしてサトミを幸せにしようとしました。
シオンが歌を歌うことで人を繋げていくその姿は、サトミが幼少期から憧れていた、"私"がなりたかったムーンそのものだったと言えます。

つまり、ここでいう "I" とはサトミが投影した自分のこと、なの
です。

まとめると、"アイの歌声を聴かせて" という言葉はサトミからシオンへの言葉なのでした。

さいごに

いやあ書きましたね。
年末になるとその年に見たアニメとかの感想をまとめて書くのですが、今年は完全にアイの歌声に持っていかれました笑

あとこの考察記事ですが前から書こうとは思っていました。
が、私は "夏休みの宿題は最終日にやるタイプ" なので今日一日で書き上げることになりました笑

まあそんなことは良いんです。
来年の"映画初め"はアイうたになる予定ですし、本当に素晴らしい作品に出会ってよかったなあと思うばかりです。

というわけで、吉浦監督をはじめスタッフの方々、『アイの歌声を聴かせて』を世に送り出していただき本当にありがとうございました!

歌と笑顔に包まれながら2021年を終えることができて、私は今、幸せです!